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「子どもが喜ぶから」でゲームは選ばない!|英語授業で大切にしたいこと

英語の先生向け

2026.08.10

「ポインティングゲーム、子どもたち大好きなんですよ〜」

以前、そんな話を聞いたことがあります。

そのとき私の頭の中は、正直、

「……なんで?」

でした(笑)。

例えば、先生が

“Cat!”

と言ったら、子どもたちが猫の絵を探して指をさす。

“Dog!”

と言ったら、犬の絵を探して指をさす。

早く指をさせた方がポイント!

さらに、たくさんポイントを取ったらシール!

確かに盛り上がります。

子どもたちも「もう一回!」と言うかもしれません。

でも私は、ゲームやアクティビティを選ぶとき、「子どもが喜ぶから」だけでは選びません。

必ず考えたいことがあります。

 

「この活動を通して、子どもたちは何ができるようになる?」

 

そしてもう一つ。

 

「この活動は、今日の授業のゴールや、この後の活動とどうつながっている?」

 

ゲームそのものが楽しいかどうかだけではなく、レッスン全体の中で、その活動がどんな役割を持っているのか。

私はそこまで考えてから、活動を選びたいと思っています。

 

同じポインティングゲームでも、全然違う

誤解してほしくないのですが、私はポインティングゲームをやらないわけではありません。

BINGOもやります。

ゲームもたくさん使います。

でも例えば、

“Cat!”
→ 猫を探す
→ 指をさす

だけでは、あまり使いません。

同じポインティングゲームをするなら、例えばこんなふうにします。

生徒:“Is it an animal?”

先生:“Yes!”

生徒:“Is it big?”

先生:“No!”

生徒:“Does it have four legs?”

先生:“Yes!”

子どもたちは、情報を聞きながら、

「何だろう?」

と考えます。

animalだから、この中のどれか。
bigじゃないなら、これは違う。
four legsなら……。

情報が一つ増えるたびに、頭の中で候補を絞っていく。

そして、

「分かった!Cat!」

と思ったところで、”単語を言って” 絵を指さす。

どちらも、やっていることの名前は「ポインティングゲーム」です。

でも、子どもの頭の中で起きていることは違います。

一方は、

聞く → 探す → 指さす

もう一方は、

聞く → 意味を理解する → 情報を整理する → 予想する → 判断する → 指さす

私が見たいのは、ゲームの名前ではなく、その活動をしているとき、子どもの頭がどう動いているかです。

 

「盛り上がる」の中身を考えてみる

“Cat!”

と言われて、誰よりも早く猫を指さしたら1ポイント。

これは盛り上がります。

ポイントが貯まったらシールがもらえるとなれば、さらに夢中になるかもしれません。

 

でも、ここでも一度考えてみたいのです。

 

そのとき、子どもは何を目的に活動しているのでしょうか。

 

英語を理解したい?

意味を考えたい?

自分の英語を使ってみたい?

それとも、

相手より早く取りたい。
勝ちたい。
ポイントが欲しい。
シールが欲しい。

になっていないでしょうか。

 

もちろん、競争そのものが悪いわけではありません。

私もレッスンに競争を取り入れることはあります。

ただ、競争を入れると、活動は比較的簡単に盛り上がります。

だからこそ、「盛り上がった=良い活動だった」ではないという視点を持っていたいのです。

 

例えば、

“Cat!” → 早くcatを指さした人が1ポイント!

というルールなら、ゲームに勝つために必要なのは、じっくり考えることではありません。

むしろ、考えていたら負けます。

できるだけ早く反応することが、このゲームで勝つための正解です。

教師が「生徒に考えてほしい」と思っていても、ゲームのルールそのものが「考えるより早く反応した人が勝ち」になっていたら、生徒は当然、勝つために行動します。

 

だから私は、

「このルールにしたとき、子どもたちは何を目的に動くだろう?」

というところまで考えたいと思っています。

 

子どもが「喜んでいる」=主体的に学んでいる?

そして、もう一つ気になることがあります。

子どもたちがゲームを喜ぶ理由は、本当に「英語が楽しいから」でしょうか。

もちろん、そういうこともあります。

でも、

決められたことをやればいい。
深く考えなくても参加できる。
当たれば嬉しい。
勝てば嬉しい。
シールがもらえる。

そんな「楽しい」もあります。

一方で、

「分かった!」

「自分で考えたら答えにたどり着いた!」

「言ってみたら伝わった!」

「さっきは分からなかったのに、できた!」

という楽しさもあります。

私は、**学ぶことそのものから生まれる「楽しい」**を、レッスンの中にもっと作りたいと思っています。

 

ペアワークにすれば解決するわけでもない

では、先生主導のゲームをやめて、ペアワークにすればいいのでしょうか。

それも違います。

例えば、

A: Do you like apples?
B: Yes, I do.
A: Do you like bananas?
B: No, I don’t.

生徒同士で英語を話している。

一見すると、とても「生徒主体」の授業に見えます。

でも、

「この順番で質問してください」
「次はこれを言ってください」
「終わったら次の人に行ってください」

と、すべてが決められていたらどうでしょう。

話しているのは生徒でも、用意されたレールの上を進んでいるだけかもしれません。

だから私が見たいのは、

「誰が話しているか」だけではなく、「誰が考えているか」。

生徒自身に、

どう答える?
どれを選ぶ?
どう伝える?
これはどういう意味だろう?
自分ならどうする?

と、考える余地があるかどうか。

生徒がたくさん話している=主体的な授業、ではないと思っています。

 

そのシール、本当に必要?

そして、もう一つ。

シールです(笑)。

もちろん、シールそのものを否定したいわけではありません。

年齢や目的によっては、ご褒美が良いきっかけになることもあります。

でも、中学校の授業なら多くの場合、時間は50分程度です。

ゲームをする。
ポイントを数える。
シールを選ぶ。
先生のところにもらいに行く。
配る。
貼る。

一つひとつは短い時間でも、積み重なれば決して小さくありません。

限られた授業時間だからこそ、私はできるだけ、

英語に触れる。
考える。
試す。
使う。

ことに時間を使いたい。

そして何より、

「英語が分かった!」
「自分でできた!」
「伝わった!」

ではなく、

「勝ったからシールがもらえた!」

が活動の最終目的になっていないか。

シールを使うことにも、

「なぜ?」

を持っていたいと思っています。

 

ゲームをやめよう、という話ではありません

ここまで読むと、

「じゃあ、ゲームはやらない方がいいの?」

と思う方もいるかもしれません。

そうではありません。

私はゲームもやります。

BINGOもやります。

ポインティングゲームもやります。

子どもたちが笑っているレッスンも大好きです。

ただ、

「子どもが喜ぶから、このゲームをやろう」

ではなく、

「今日、子どもたちに何ができるようになってほしい?」

そこから考える。

そして、

「そのために、このゲームをどう使う?」

と考える。

さらに、その活動だけを切り取るのではなく、

「この活動が、この後の活動や今日のレッスンのゴールにどうつながる?」

まで考えてみる。

ゲームも、BINGOも、ポインティングも、ペアワークも、シールも。

それ自体に「良い」「悪い」があるわけではありません。

何のために、どう使うのか。

そこに、教師のレッスン設計があると思っています。

 

明日のレッスンで、5つだけチェックしてみてください

ゲームやアクティビティをしたあと、「盛り上がった!」だけで終わらず、こんな視点で少しだけ振り返ってみてください。

□ ① 誰が一番話していた?
先生ばかりが説明したり、指示したりしていなかった?

□ ② 生徒は「考える」時間があった?
ただ聞いて反応するだけではなく、思い出す・予想する・比べる・判断する場面があった?

□ ③ 生徒は「先生の指示通りにやる」だけになっていなかった?
「どう答える?」「どれを選ぶ?」「どう伝える?」など、生徒自身が考える余地があった?

□ ④ 生徒は何に夢中になっていた?
英語を理解すること、考えること、伝えること?
それとも、勝つこと・ポイント・シール?

□ ⑤ その活動は、今日のレッスンのゴールにつながっていた?
その場だけで完結せず、その後の活動や「今日できるようになってほしいこと」につながっていた?

全部にYESである必要はありません。

 

大切なのは、ときどき立ち止まって、

「なぜ、今日この活動をするんだろう?」

と考えてみること。

「今日のゲーム、すごく盛り上がった!」

それは嬉しい。

 

でも、そのもう一歩先に、

 

「その時間、生徒の頭の中では何が起きていた?」

 

という視点を持つ。

 

子どもたちの「楽しい」を大切にしながら、その先にちゃんと「学び」がある。

私は、そんな英語レッスンを作っていきたいと思っています。




国際色豊かな「出会い」と「学び」がある

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