「授業で使える英語活動を知りたい」
英語を教えている先生なら、一度はそう思ったことがあるのではないでしょうか。
SNSやインターネットで検索すると、ゲームやペアワークなど、楽しそうな活動がたくさん見つかります。
実際に授業へ取り入れてみると、子どもたちは楽しそうに参加してくれる。
それなのに、
「思ったほど英語を使っていない」
「活動は盛り上がったけれど、何が身についたのかわからない」
「次の授業では、また別の活動を探さなければならない」
そんなことはありませんか?
もしかすると、それは活動の数が足りないからではありません。
「活動をすること」自体が、授業の目的になってしまっているからかもしれません。
ペア活動にすれば、コミュニケーションになる?
たとえば、Do you like ~? を学習したあとに、こんなペア活動を行ったとします。
Do you like soccer?
Yes, I do.
Do you like sushi?
No, I don’t.
Do you like cats?
Yes, I do.
子どもたちはペアになり、ワークシートに書かれた質問を読みながら、相手の答えを記入します。
先生が一方的に説明する授業とは違い、子ども同士で英語を話しています。
一見すると、コミュニカティブな活動に見えます。
けれども、少し立ち止まって考えてみましょう。
子どもたちは、本当に相手の答えを聞く必要があるでしょうか?
相手が Yes, I do. と答えても、No, I don’t. と答えても、決められた欄に丸や印をつけるだけ。
質問をすべて終え、ワークシートが埋まったら活動は終了です。
英語を声に出してはいます。
しかし、相手の答えをもとに何かを考えたり、自分の言葉で反応したりする必要はありません。
ペア活動にしただけで、必ずしもコミュニケーションが生まれるわけではないのです。
英語を使った「あと」に何が起こるか
では、同じ Do you like ~? を使って、活動のゴールを少し変えてみます。
今回のゴールは、
「相手に合った週末プランを考え、提案すること」
です。
まず、相手の好みやできることについて質問します。
Do you like sports?
Do you like animals?
Do you like cooking?
Can you swim?
相手の答えを聞いたら、その情報をもとに、おすすめの週末プランを考えます。
たとえば、相手がスポーツは好きではないけれど、動物が好きだとわかったら、
I recommend the zoo.
料理が好きだとわかったら、
I recommend a cooking class.
スポーツが好きで泳ぐこともできるなら、
I recommend the swimming pool.
と提案できます。
レベルに応じて、
You like animals, so I recommend the zoo.
I think you should go to the zoo.
のように、理由を加えてもよいでしょう。
この活動でも、使っている中心表現は Do you like ~? です。
しかし、子どもたちは質問を終わらせるためではなく、相手に合ったプランを考えるために質問します。
相手の答えによって、その後の自分の判断が変わるため、答えをきちんと聞く必要も生まれます。
英語を使うことが、活動のゴールではありません。
英語を使って情報を集め、考え、選び、相手に伝えるところまでが活動になります。
「英語を言わせる活動」で終わらせない
授業を考えるとき、
「Do you like ~? をたくさん言わせるには、どんな活動がいいだろう」
と考えることがあります。
もちろん、新しい表現を繰り返し使うことは必要です。
けれども、「何回言ったか」だけを活動のゴールにすると、子どもにとっては、決められた英文を読み上げる作業になりやすくなります。
大切なのは、英語を言わせることだけではありません。
その英語を使って、
- 何を知るのか
- 何を考えるのか
- 何を選ぶのか
- 誰に何を伝えるのか
というところまで設計することです。
今回の週末プランの活動では、
- 相手に質問する
- 相手の答えを聞く
- 得た情報を整理する
- 相手に合ったプランを選ぶ
- 自分の考えを伝える
という流れが生まれます。
これなら、文型練習とコミュニケーションを切り離さずに行うことができます。
活動を選ぶときに考えたい3つのこと
新しい活動を授業に取り入れる前に、次の3つを確認してみてください。
1.生徒は何のために英語を使うのか
「先生に言われたから」「ワークシートを埋めるため」ではなく、英語を使う目的があるでしょうか。
情報を知りたい、相手に合ったものを選びたい、違いを見つけたい。
そのような目的があると、英語を使う必然性が生まれます。
2.答えを聞いたあとに、何かが起こるか
質問して答えて終わるのではなく、その答えを使って考えたり、選んだり、次の質問を変えたりできるでしょうか。
相手の答えが、その後の行動に影響する活動になっているかを考えます。
3.授業の最後に、生徒は何ができるようになるか
「ゲームが盛り上がった」「全員が参加した」だけでは、学習の成果は判断できません。
授業の最後に、
「相手の好みを質問できる」
「聞いた情報から、相手に合うものを提案できる」
など、生徒の姿を具体的に考えておくことが大切です。
必要なのは、活動の数ではなく、授業を組み立てる視点
授業で使える活動を知ることは、もちろん大切です。
けれども、どれほど多くの活動を知っていても、
「なぜ、この活動を行うのか」
「この活動を通して、何ができるようになるのか」
が曖昧なままでは、活動を次々と探し続けることになります。
一方で、授業のゴールと、英語を使う目的が明確になれば、特別なゲームを用意しなくても、普段行っているペアワークを大きく変えることができます。
活動を知っていることと、授業を設計できることは同じではありません。
英語を使わせることをゴールにせず、
英語を使って、何を考え、何を決め、何を伝えるのか。
そこまで考えることが、子どもたちの「英語を使う力」につながっていきます。
英語の先生トレーニングコースでは、活動のアイデアを増やすだけではなく、目標や生徒の段階に合わせて活動を選び、授業として組み立てるための考え方を、実践とともに学んでいきます。
