最近、中学1年生7名に、小学校の英語について聞いてみました。
すると、7名全員がほぼ同じことを言ったんです。
「中学校の先生に“小学校でやったよね?”と言われるけど、やってない」
中には、教科書に「小学校で習った単語」として載っているものを見て、
「いや、こんなのやってないから!」
と、ちょっと怒っている生徒もいました(笑)
もちろん、本当に一度も聞いたことがないのかは分かりません。
小学校の授業の中で、その単語を聞いたり、絵を見ながら言ったりしたことはあるのかもしれません。
でも、生徒の中では「習った」ことになっていない。
ここが、小学校英語と中学校英語のつながりを考えるときに、かなり大事なところなのではないかと思います。
小学校では使えていた。でも、仕組みまでは分かっていない
小学校では、
“Do you like soccer?”
“Are you hungry?”
“Can you swim?”
など、いろいろな表現を使います。
先生のお手本や絵、会話の流れがある中で、質問したり答えたりします。
その場では、ちゃんとできていた子も多いと思います。
でも、
「なぜ、これは “Do you ~?” なの?」
「こっちは、どうして “Are you ~?” なの?」
と聞かれたら、分からない子もたくさんいます。
小学校では、文の仕組みを一つずつ整理して覚えたというより、場面や音と一緒に、表現をまとまりで使ってきたからです。
それ自体が悪いわけではありません。
英語を聞いて、意味を予想して、実際に誰かと使ってみる。
これは、小学校だからこそできる大切な経験です。
ただ、中学校に入ると、急に求められることが変わります。
中学校では、習った前提で授業が始まる
中学校では、聞いたり話したりするだけではありません。
単語を読んで、つづりを覚えて、文の語順を考えて、自分で書くことも求められます。
しかも、最初の教科書から “Do you ~?” と “Are you ~?” など、小学校で触れたさまざまな表現が混ざって出てきます。
でも、生徒の中では、その違いがまだ整理されていません。
どちらも「あなたは~?」と聞いているように見える。
でも、片方には “do” があり、もう片方には “are” がある。
何が違うのか分からないまま、「小学校でやったよね」と授業が進んでいく。
生徒が「困る」と言っていたのは、ここでした。
忘れたから分からない、というだけではないんです。
まだ仕組みを教わっていないものを、分かっている前提で進められる。
それが、生徒たちの感じている難しさなのだと思います。
「一度使った」と「身についた」は違う
小学校で英語を聞いたことがある。
先生のあとに続いて言ったことがある。
絵を見ながら答えられた。
これも一つの「できた」です。
でも中学校では、
文字を見て読める。
意味が分かる。
“do” と “are” の違いが分かる。
自分で必要な方を選べる。
文として書ける。
というところまで求められます。
つまり、
小学校では、場面と音声に支えられて「使った」。
でも、
中学校では、その仕組みがまだ整理されていないまま、「自分で読んで、書いて、使う」ことを求められる。
この間に、大きな段差があるのだと思います。
中学校で必要なのは、もう一度つなぎ直すこと
だからといって、小学校でもっと文法を教えた方がいい、という単純な話ではないと思っています。
中学校ですべて最初から教え直す、ということでもありません。
小学校で使ったことのある表現を一度取り出して、
「これ、聞いたことはある?」
「この二つは、何が違うと思う?」
「どんなときに “do” を使っていた?」
と、経験と文法をつなぎ直す時間が必要なのだと思います。
たとえば、
“Do you like soccer?”
“Are you a soccer fan?”
を並べてみる。
どちらも、小学校で聞いたことのある英語かもしれません。
でも、並べて違いを見ることで、初めて気づくことがあります。
そして、その気づきを中学校で文法として整理し、今度は自分で使ってみる。
小学校での経験が、そこでやっと中学校の理解につながります。
小学校では、経験から気づきへ。
中学校では、気づきから理解へ。そして、理解したものをもう一度使用へ。
「小学校でやったよね?」で終わらせるのではなく、その子が何をどこまで分かっているのか、一度立ち止まって見てみる。
小学校英語と中学校英語をつなぐために必要なのは、そういう時間なのかもしれません。
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